最後に「仕事が楽しい」と思えたのはいつ?ワークエンゲージメントから考える、自分らしいキャリアの作り方

月曜の朝、なんとなく気が重い。仕事は嫌いじゃないし、給料も働き方も、そこまで悪くない。でも「夢中になっている?」と聞かれたら、正直、言葉に詰まってしまう。
そんな感覚を抱えたまま、毎日をなんとなく過ごしている。辞めたいわけじゃない。けれど、このままでいいのかと聞かれると、うまく答えられない。
もしこの感覚に心当たりがあるなら、それは「ワークエンゲージメント」という言葉で説明できるかもしれません。そしてこの考え方は、これからのキャリアを自分らしく作っていくうえで、思っている以上に大切なヒントになります。
この記事を書いた人

千賀 勇輝
SENGA YUKI
株式会社Necmos 取締役
2019年株式会社ネオキャリアに新卒入社。450人の新卒から抜擢され、子会社の立ち上げに参画。その後、Web広告企業に転職した後、キャリアコーチングに出会う。過去に転職で悩んだ経験から、コーチングの重要性を痛感し、株式会社Necmosを創業。キャリア伴走型エージェント事業の統括を行い、社員へのキャリアサポートに情熱を注いでいる。
ワークエンゲージメントとは。“燃え尽き”の対極にある、ポジティブな働き方
いろんな定義がある。でも、本質は一つ
ワークエンゲージメントは、なんとなく気分の話をしているわけではありません。世界中で研究が進む、信頼性の高い学術的な概念です。
たとえば、オランダのユトレヒト大学のシャウフェリ教授らは、この概念を提唱・体系化したことで知られています。また、世界的な調査会社であるGallup(ギャラップ)社も、独自の観点からワークエンゲージメントを定義しています。実はNecmosでも、このGallup社が提供するStrengthsFinder(ストレングスファインダー)をベースに、エンジニアとの1on1を進めています。
このように、研究者や機関によって、定義の仕方はさまざまです。けれど、どの定義にも共通している本質があります。それは、**「仕事に、いきいきと前向きに向き合えている状態」**だということ。
細かな違いよりも、まずはこの共通する本質をつかんでおく。それだけで十分です。この記事でも、この本質をベースにお話を進めていきます。
活力・熱意・没頭。3つの要素がそろった状態
ワークエンゲージメントは、「活力」「熱意」「没頭」という3つの要素がそろった、いきいきとした心理状態を指します。
ポイントは、これがバーンアウト(燃え尽き)の対極にある概念だということ。つまり、すり減っていく働き方ではなく、満たされていく働き方です。
言葉だけ見ると少し難しく感じるかもしれませんが、中身はとてもシンプル。一つずつ、あなたの仕事に当てはめながら見ていきましょう。
データが映す、日本の「働く」の現実
ここで、少し気になるデータを紹介させてください。
Gallup社が毎年発表している調査「State of the Global Workplace」によると、日本で仕事に「エンゲージしている(意欲的に取り組めている)」人の割合は、わずか6%でした。これは世界平均の23%を大きく下回り、東アジアの平均18%と比べても低く、世界で最も低い水準です。
さらにIT業界に目を向けると、状況はもっと厳しいかもしれません。厚生労働省の関連資料でも、IT業界、とくに20代・30代の非管理職層でワークエンゲージメントが低めに出ており、なかでも「活力」や「熱意」のスコアが低いことが報告されています。
この数字を見ると、「やっぱり働くって、しんどいものなんだ」と感じてしまうかもしれません。
でも、ここで立ち止まって考えてほしいのです。世界に目を向ければ、4人に1人近くが仕事にいきいきと向き合えている。「働くことは辛い」というのは、もしかすると日本の中だけで強く共有されている“思い込み”なのかもしれません。
実際、世界には「仕事って楽しい」と心から感じながら働いている人が、たくさんいます。だとすれば、それはあなたにとっても、決して手の届かない話ではないはずです。
3つの要素を分解する。あなたの仕事に当てはめてみる
ここからは、活力・熱意・没頭の3つを、一つずつ具体的に見ていきましょう。それぞれが高いとき・低いときが、日々の仕事でどんなふうに表れるのか、表にまとめました。
読みながら、ぜひ「自分は今どっちに近いだろう?」と当てはめてみてください。
活力|精神的なエネルギーが高く、仕事に向かえている状態
心のエネルギーが満ちていて、「よし、やるか」と前向きに仕事へ向かっていける状態。多少大変なことがあっても、粘り強く取り組める力です。
活力が高いとき | 活力が低いとき | |
|---|---|---|
朝、PCを開くとき | 「今日はあれを進めよう」と自然に手が動く | 開く前からため息が出る |
困難にぶつかったとき | 「よし、潰してやろう」と向き合える | 「また面倒なことが…」と気が重くなる |
一日の終わり | 心地よい疲れがある | すり減った感覚だけが残る |
熱意|自分や他者のためになっている、という実感
自分の仕事に意味や誇りを感じられている状態。「この仕事は誰かの役に立っている」と思えるかどうかで、同じ業務でも感じ方はまるで変わります。
熱意が高いとき | 熱意が低いとき | |
|---|---|---|
仕事の目的 | 誰のための仕事か、繋がりが見えている | 「これ、誰が使うんだろう」と感じる |
コードを書く姿勢 | 「もっと良くしたい」と自然に思える | 仕様書通りに、淡々と手を動かすだけ |
成果が出たとき | 自分ごととして嬉しい | 特に何も感じない |
没頭|業務がスムーズに進み、時間を忘れる感覚
仕事に深く集中して、気づいたら時間が経っていた、というあの感覚。余計なことを考えず、目の前のことに入り込めている状態です。
没頭できているとき | 没頭できないとき | |
|---|---|---|
時間の感じ方 | 「もう夕方?」と驚く | 時計ばかり気になる |
集中の深さ | 思考がスムーズに流れる | 5分おきにスマホを触ってしまう |
一日の手応え | 「しっかり進んだ」と感じる | 「結局あまり進まなかった」と感じる |
3つがそろったとき、仕事は“夢中になれるもの”に変わる
活力・熱意・没頭。この3つがそろったとき、仕事は「やらされるもの」から「自分から関わっていけるもの」へと変わります。
表を見ながら、振り返ってみてください。あなたの今の仕事は、この3つのうち、どれが「高いとき」に近くて、どれが「低いとき」に近いでしょうか。
その答えこそが、これからのキャリアを考えるうえでの、大切な手がかりになります。
エンゲージメントは、キャリアを自分で作るための“地図”になる
「給与・働き方」だけでは満たされない時代に
条件で仕事を選んだはずなのに、なぜか満たされない。そんな経験はないでしょうか。
給料が上がっても、働き方が楽になっても、それだけでは埋まらない部分があります。なぜなら、条件は「外側」の話であって、自分が何にエネルギーを感じ、何に意味を見いだすかという「内側」の話は、また別だからです。
自分のエンゲージメントが高まる条件を知ると、必要なスキル・環境が見えてくる
ここが、この記事で一番伝えたいことです。
活力・熱意・没頭は、「気合い」で上げるものではありません。自分はどんなときにそれが高まるのかを知り、その条件を意識的に満たしていくことで、誰でも高めていけます。
ポイントは、一般論の「正解」を探すのではなく、自分というタイプを理解したうえで、自分に効く方法を選ぶこと。一つずつ見ていきましょう。
※以下のカード内の「自分のタイプ」はあくまで一例です。人によって中身は変わります。
活力を高める
❶ まず知ること 自分はどんなときにエネルギーが湧き、何にすり減るのか。
❷ 自分のタイプを認識する 「自分は、調子が乗ってくると一気に進められるタイプ。逆に、出だしでつまずくと一日中エンジンがかからない」
❸ だから、やってみること 一日のはじめに「得意な作業」から手をつける。
❹ なぜ、自分に効くのか 出だしで勢いをつけられるタイプだからこそ、得意な作業で波に乗れる。「今日はやれている」という感覚で一日を始められるので、その後の難しいタスクにも前向きに向かえる。結果として、一日を通して活力が高く保たれる。
熱意を高める
❶ まず知ること 自分は何に「意味」を感じるのか(誰かの役に立つ・技術を究める・チームに貢献する、など)。
❷ 自分のタイプを認識する 「自分は、技術そのものより“使ってくれる人の反応”でやる気が出るタイプ。誰の役に立っているか見えないと、急に熱が冷める」
❸ だから、やってみること 自分の仕事の“その先にいる人”を、具体的に思い描く。
❹ なぜ、自分に効くのか 人の役に立つ実感で動くタイプだからこそ、コードの先にいる利用者を意識すると、「ただの作業」が「誰かのための仕事」に変わる。貢献が見えることで「やる意味がある」と感じられ、熱意が自然と高まっていく。
没頭を高める
❶ まず知ること 自分は、いつ・どんな環境でなら集中できるのか。
❷ 自分のタイプを認識する 「自分は、一度集中が切れると立て直すのに時間がかかるタイプ。細切れの時間より、まとまった時間のほうが力を出せる」
❸ だから、やってみること まとまった集中時間をあらかじめ確保し、その間は通知を切る。
❹ なぜ、自分に効くのか 中断に弱いタイプだからこそ、邪魔の入らない時間をつくることが効く。思考が途切れずに深く入り込めるので、「気づいたら時間が経っていた」という没頭状態に入りやすくなる。
このように、同じ「行動」でも、自分のタイプを理解したうえで選ぶと、効き方がまるで変わります。
そして、自分の高まる条件が分かってくると、不思議なことが起きます。「自分は、こういう働き方をすると力が出る」「こういう環境なら集中できる」。それが見えてくると、自分が伸ばすべきスキルや、求めるべき環境が、くっきりと分かるようになるのです。だからこそ、ワークエンゲージメントは、自律的にキャリアを作っていくための「地図」になります。
これを知らないまま転職を繰り返すと、また同じモヤモヤに戻ってしまう
逆に、この地図を持たないまま転職や異動を繰り返すと、どうなるでしょうか。
環境を変えたはずなのに、しばらくするとまた同じモヤモヤが戻ってくる。「何が足りないのか」が分からないままだと、選び方の軸も変わらないからです。
自分のキャリアを、ただ消化していくものにしないために。自分に合った仕事を見つけるには、まず自分のエンゲージメントを理解することが欠かせません。
ここまで一人で進めるのは、正直むずかしい。だからNecmosが伴走します
ここまで読んで、「自分を理解することが大事なんだな」と感じてもらえたかもしれません。
そして安心してほしいのは、ワークエンゲージメントは「もともと前向きな人」だけのものではない、ということです。生まれ持った才能でも、たまたまの運でもありません。自分の状態を知り、環境との関わり方を整えていくことで、誰でも高めていけます。
ただ、正直にお伝えすると、これを一人でやり切るのは、思っている以上に難しいことです。
まず、自分のことほど、自分では見えにくいから。「自分は何にエネルギーを感じるのか」「どんなときに熱意が湧くのか」。いざ考えようとすると、頭の中でぼんやりするばかりで、なかなか言葉になりません。毎日その中にいるからこそ、かえって客観的に眺めるのが難しいのです。
次に、自分の強みは、自分にとって“当たり前”になっているから。まわりから見れば際立った力なのに、本人は「これくらい誰でもできる」と思い込んでいる。そうやって、一番の武器を見落としてしまうことは、めずらしくありません。
そして、忙しい日々の中では、立ち止まる時間そのものが取れないから。目の前のタスクに追われていると、「自分はどうありたいか」を考える余白は、後回しになっていきます。気づけば、また同じモヤモヤを抱えたまま、半年、一年が過ぎていく。
だからこそ、私たちNecmosは、エンジニア一人ひとりに「伴走」しています。一人では見えにくい自分を、対話を通じて一緒に見つけていく。そのための関わり方を、二つご紹介させてください。
1on1で、定期的に「自分の状態」を見つめ直す時間を持つ
Necmosでは、エンジニア一人ひとりと定期的に1on1の時間を持っています。
目的は、進捗を管理することではありません。「いま、どんな状態か」「何に活力を感じ、何にモヤモヤしているか」を、対話を通じて一緒に見つめ直すためです。答えを押しつけるのではなく、その人自身の気づきを引き出すことを大切にしています。
StrengthsFinderで、自分の強み・らしさを言語化する
あわせて、StrengthsFinderというツールを使い、その人の強みや「らしさ」を言葉にしていきます。
自分の強みは、自分にとっては「当たり前」すぎて気づきにくいものです。それを言語化できると、どんな環境でなら自分が活きるのかが見えてきます。私たちが掲げる「自分らしさが誰かのためになる世界を実現する」というミッションは、まさにこの一人ひとりの「らしさ」から始まると考えています。
まずは、自分のエンゲージメントを見つめ直すことから
ここまで読んで、「エンゲージメントって、思っていたより大事かも」と感じてもらえたら嬉しいです。
まずは、今日の自分を振り返ってみてください。活力・熱意・没頭の3つのうち、いま満たされているのはどれで、足りていないのはどれでしょうか。
その問いを一人で抱えるのが難しいと感じたら、私たちと話してみませんか。転職をすぐに決める場ではありません。自分のキャリアを、自分らしく作っていくための「地図」を、一緒に描いていく時間です。
まずは30分ほど、オンラインでお話しするところから。気負わず、雑談のような気持ちでご連絡ください。
Necmos編集部は、現場で活躍するエンジニアの声やリアルな経験に基づいた信頼性の高い情報を発信し、読者が自身のキャリア形成に役立てられるようサポートしています。 また、エンジニア一人ひとりの価値観や想いを大切にしながら、業界最高水準の給与還元を透明性の高いマージン設計で実現することで、エンジニアが安心してキャリアに集中できる環境を整えています。