SES業界知識
SESでリモートは実現可能?常駐とテレワークを両立するコツと案件探し

最終更新:2026.04.06
公開:2026.04.06
エンジニアになれば「場所を選ばず自由に働ける」「満員電車から解放される」――。そんな期待を抱いてIT業界に飛び込んだものの、現実は毎日決まった時間に客先へ出社し、周囲のWeb系エンジニアがフルリモートで働く姿を横目に「なぜ自分だけ……」と不公平感を感じていませんか?
結論から言えば、SES(システムエンジニアリングサービス)という働き方であっても、リモートワークを実現することは十分に可能です。
しかし、実務経験が浅いうちから「明日からフルリモート」が約束されているケースは稀であり、そこにはSES特有の仕組みや、案件選びの戦略が必要になります。
本記事では、SESにおけるリモート案件の実態を深掘りし、客先常駐とテレワークを無理なく両立させるコツや、理想の案件を引き寄せるための具体的なアクションプランを解説します。この記事を読み終える頃には、今の環境でどう動くべきか、あるいはどのような基準で次の案件や会社を探すべきかが明確になっているはずです。
この記事でわかること
- SESにおけるリモートワークの実態と「出社が続く」構造的な理由
- リモートが可能な案件と難しい案件を見分けるチェックポイント
- 現場での信頼を積み上げてリモート比率を段階的に増やす具体的な立ち回り
- 実務2〜5年目のエンジニアがリモート案件を引き寄せるためのスキルと交渉術
Necmos編集部
Necmos編集部は、現場で活躍するエンジニアの声やリアルな経験に基づいた信頼性の高い情報を発信し、読者が自身のキャリア形成に役立てられるようサポートしています。 また、エンジニア一人ひとりの価値観や想いを大切にしながら、業界最高水準の給与還元を透明性の高いマージン設計で実現することで、エンジニアが安心してキャリアに集中できる環境を整えています。
SESでもリモートワークは可能?
「エンジニアならどこでも働けるはず」という理想に対し、現実は「毎日客先へ出社」というギャップに悩むエンジニアは少なくありません。まずは、SES業界におけるリモートワークの実態と、なぜイメージと現実に乖離があるのかを整理しましょう。
フルリモート案件は実在する
結論から言えば、SESでもフルリモート(完全在宅)案件は存在します。
近年、多くの現場でリモート環境の整備が進んでいます。週に数回の出社を組み合わせた「ハイブリッド型」を含めれば、リモートワークを取り入れている案件は珍しくありません。特にSaaS系のプロダクト開発や社内ツールの内製化を進める企業では、エンジニアの働き方に柔軟性を持たせるケースが増えています。
重要なのは、「SESだからリモートは無理」という思い込みを手放すことです。確かに全案件がリモート対応しているわけではありませんが、案件を選ぶ目線と交渉の姿勢があれば、リモートワークは十分に手の届く選択肢になります。実務経験2〜5年程度のスキルがあれば、フルリモート案件への参画は現実的な目標と言えるでしょう。
なぜ「SES=客先常駐(出社)」のイメージが根強いのか
一方で、依然として「SESは客先に出社してナンボ」という空気が根強いのも事実です。これには主に2つの構造的な理由があります。
- 多重下請け構造による制約
商流が深くなる(二次請け、三次請けとなる)ほど、エンド企業(元請け)の就業ルールに縛られやすくなります。エンド企業が「セキュリティ上、自社内での作業を原則とする」と決めている場合、下請けであるSES企業の意向だけでリモートに切り替えることは困難です。自社の営業担当がどの商流で案件を取ってきているかは、リモート可否を左右する見えにくいポイントです。案件を検討する際には、「直請けかどうか」「何次請けか」を確認する習慣をつけておくと良いでしょう。
- 「工数管理」の慣習
古い体質の現場では、アウトプット(成果物)よりも「何時間デスクに座っていたか」というプロセスを重視する傾向があります。目に見える場所で働いている安心感を求める管理者が多い現場では、必然的に出社が前提となります。
リモートワークが可能なSES案件の共通点
リモート案件を引き寄せるための第一歩は、「在宅勤務が許容される現場」の共通点を知ることです。案件選びで意識しておきたいポイントを確認していきましょう。
運用体制やマニュアルが整備されている
リモートワークがスムーズに行われている現場には、「言語化されたルール」があります。出退勤の報告方法や開発環境の構築手順がドキュメント化されているプロジェクトは、「場所を問わず成果を出せる環境」を重視しているため、リモートへの移行もスムーズです。
コミュニケーションツールが文化として定着している
SlackやMicrosoft Teamsでの相談が活発で、WikiツールやドキュメントサービスなどのツールやNotionやConfluenceに情報が集約されている現場は、対面での会話に依存していないため、リモートワークとの親和性が高いと言えます。
セキュリティ対策が整い、リモートの障壁がない
VDI(仮想デスクトップ)やVPNが導入されており、自宅から安全に業務環境へアクセスできるインフラが整っているかどうかも、リモート可否の大きな分かれ目です。
リモートワークが難しいSES案件の特徴
リモートワークが実現しにくい案件には、いくつかの共通した特徴があります。事前に見極められるポイントを押さえておきましょう。
専用端末の持ち出し禁止や強固なネットワーク制限がある
金融系や公共系の案件に多い特徴です。物理的な隔離によるセキュリティ確保を優先している現場では、個人の努力だけでリモート化を勝ち取るのは極めて困難です。
こうした案件は、スキルアップや単価の面では魅力的な場合もあります。ただし「リモートワークを実現したい」という優先度が高いなら、最初から対象外として割り切ってしまうのが賢明です。条件面の良さに引かれて入ってしまうと、「やっぱりリモートできなかった」という後悔につながりやすいため、入る前の確認が重要です。
対面での進捗管理やマイクロマネジメントが残る現場
朝会や夕会を必ず対面で行うルールがあるなど、管理者がリモートワークを「管理不能」と捉える傾向がある現場は、心理的なハードルが非常に高くなります。こうした現場では、リモートを「特別な措置」として扱う文化が根付いており、継続的に取り入れてもらうのが難しい場合があります。
レガシーシステムへの依存で物理出社が必要
オンプレミス環境でサーバーを直接触る必要がある、あるいは紙ベースの運用が残っているなど、デジタル化が遅れている現場は出社が前提となります。システムの構成上、物理的にその場にいなければ作業が完結しないため、いくら本人がリモートを希望しても実現できないケースがほとんどです。担当する業務の内容と作業環境をあらかじめ確認しておくことが大切です。
常駐とテレワークを無理なく両立するための実践のコツ
リモートワークを長く続けるうえで、意外と見落とされがちなのが「現場との信頼関係」です。どれだけスキルがあっても、信頼がなければリモート継続は難しい——そんな現実を踏まえた、実践的なコツを紹介します。
成果を「見える化」して、現場に安心感を与える
管理者の「何をしているか見えない」という不安を払拭するために、作業の進捗状況を積極的に共有することが重要です。日報では「何がどこまで終わったか」を第三者が即座に把握できる粒度で書くことを意識しましょう。たとえば「〇〇機能の実装を70%完了、残りは明日中に完了予定」のように、状態と見通しをセットで伝えると、管理者が安心して任せやすくなります。
「報告しすぎかな」と感じるくらいがリモート初期はちょうど良く、過剰なくらいの透明性が信頼構築の近道です。
現場との信頼を積み上げ、リモート比率を徐々に増やす
初期の数週間はあえて出社を多めにして人間関係を構築し、「明日は集中したいので在宅で進めても良いでしょうか?」というスポットリモートの提案から実績を作っていくのが効果的です。「最初からフルリモートを要求する」よりも、「段階的に実績を積む」方が現場の抵抗感を下げられます。1回リモートで問題なく成果を出せれば、次の交渉がしやすくなります。焦らず、着実に信頼の積み上げを優先しましょう。
チームとのコミュニケーションを能動的に設計する
チャットの「即レス」を意識し、自分の作業ステータス(集中中、休憩中など)を明示しましょう。リモート中に「あの人、今何してるんだろう」と思われた瞬間、不安は不信へと変わります。「聞かれる前に答える」姿勢、つまり相手が疑問を持つ前に情報を提供する習慣が、リモート継続の鍵を握ります。
リモート案件が多い職種と求められるスキルセット
開発系:Web系やモダン言語を使う案件
Webサービス開発の現場はモダンな開発文化が根付いており、フルリモートの選択肢が広がりやすい傾向があります。JavaScriptやTypeScriptなどのWeb技術スタックを扱う案件は、特にリモートとの相性が良いとされています。
インフラ系:クラウド移行や運用案件
物理サーバーを直接触る必要がないクラウドエンジニアも、リモートと相性が良い職種です。AWSやAzure、GCPなどのクラウドサービスを扱う案件では、インフラの構築や変更がすべてブラウザやCLI上で完結するため、物理的な出社が不要なケースが多くなります。インフラをコードで管理するIaC(Infrastructure as Code)のスキルがあれば、作業のすべてをリモートで完結させやすくなります。
共通スキル:自走力とテキストコミュニケーション力
近くに相談できる人がいない環境では、公式ドキュメントや既存のコードから自力で解決策を見つける「自走力」が求められます。詰まったときにすぐ質問できるオフィス環境と違い、リモートでは「まず自分で調べる」姿勢がなければ、チームへの負担が増えてしまいます。
加えて、結論から正確に情報を伝える「テキストコミュニケーション力」も欠かせません。曖昧な表現や長すぎる文章は、リモート環境では誤解や手戻りの原因になりやすく、技術力と同等かそれ以上に重要なスキルです。
SESでリモート案件を探すための戦略的アクション
今の会社の営業担当に「リモート希望」を正しく伝える
「通勤がしんどい」ではなく、「リモート環境の方がパフォーマンスを発揮でき、今のスキルならモダンな現場でも貢献できる」と、自分のスキルと生産性を軸に交渉しましょう。感情ではなく、会社側にとってのメリットで語ることが交渉を有利に進めるポイントです。
参画後に「信頼」を積み上げ、リモート継続・拡大を勝ち取る
最初の1ヶ月でオーバーコミュニケーションを徹底し、「この人は離れていても状況が手に取るようにわかる」という安心感を与えることが、フルリモートへの移行を現実に近づけます。
スキルを棚卸しして自分の市場価値を把握する
今の会社にリモート案件が極端に少ない場合は、外部の情報を取り入れることも大切です。案件選択制や直請け比率が高い企業の情報を持っておくことは、現職での交渉を有利に進めるカードにもなります。
まずは自分が今どんな技術・経験を持っているかを整理し、「自分のスキルでどの程度のリモート案件に手が届くか」を客観的に把握することが、次の一手を考えるうえでの出発点になります。
まとめ
「SESだからリモートは無理だ」と諦める必要はありません。実務経験2〜5年という、エンジニアとして需要が高まる時期にいるあなたなら、正しい戦略を持って動くことで、理想のワークライフバランスを手に入れることは十分に可能です。
満員電車から解放され、自宅や好きな場所でパフォーマンスを発揮できる環境は、単なる「楽」ではなく、自分への「投資」でもあります。まずは今日、自分のスキルを棚卸しすることから始めてみませんか?一歩踏み出す勇気が、あなたのキャリアを大きく変えるはずです。
この記事を書いた人

立津 潤
TATETSU JUN
株式会社Necmos キャリアアドバイザー
前職はパーソナルトレーナーとして500名以上を担当。その経験で培った「個々の特性に合わせた目標設計」と「徹底的な伴走スタイル」を武器に、現在はNecmosにてエンジニアのキャリア支援に従事。予測困難な時代だからこそ、一人ひとりの強みや価値観を深掘りしながら市場価値を正しく認識できるよう支援。技術の先にある「その人らしい生き方」を共に描き、どんな変化にも挑戦し続けられる環境づくりを追求している。
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