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SESのキャリアは「あり」なのか?市場価値という視点で考える将来性

SESのキャリアは「あり」なのか?市場価値という視点で考える将来性

最終更新:2025.08.18

公開:2025.07.22

「この働き方、ずっと続けていて価値はあるのか?」と感じたときに

日々現場で求められる仕事をこなしながら、ふと「この経験、本当に自分の市場価値につながっているんだろうか?」と不安になることはありませんか?

SNSや転職サイトでは、SESに対して「使い捨て」「成長できない」といった厳しい声が目立ちます。
一方で、「いろんな現場を経験してスキルの幅が広がった」「結果的に市場価値が高まった」という声も少なくありません。

同じSESという働き方でも、歩むキャリアには大きな差が生まれます。
だからこそ今、「SES=悪」ではなく、「どう使いこなすか」という視点で、冷静にこの働き方を見つめ直す必要があります。

この記事でわかること

  • なぜ今、SESが「市場価値を高める選択肢」として見直されているのか
  • 「伸びるSES」と「停滞するSES」を分ける環境・企業の違い
  • 将来につながるSESの選び方と、見極めで失敗しないためのチェックポイント
1)

「SESって、どうなんだろう」と悩んでいるあなたへ

3)

「SESで市場価値は上がるのか?」──論点の整理

この記事の監修者

株式会社Necmos

Necmos編集部

Necmos編集部は、現場で活躍するエンジニアの声やリアルな経験に基づいた信頼性の高い情報を発信し、読者が自身のキャリア形成に役立てられるようサポートしています。 また、エンジニア一人ひとりの価値観や想いを大切にしながら、業界最高水準の給与還元を透明性の高いマージン設計で実現することで、エンジニアが安心してキャリアに集中できる環境を整えています。

「SESって、どうなんだろう」と悩んでいるあなたへ

ネットで目にする「地雷」「使い捨て」の声

「SESはキャリアにならない」「スキルがつかない」「現場に放り込まれて終わり」──こうした声をSNSや口コミで目にし、不安を感じたことがある方も多いのではないでしょうか?

確かに、現場によっては単調な作業や、技術的な成長につながらない業務が割り当てられるケースも存在します。
また、自分で案件を選べない企業に所属していると、経験の偏りがキャリアの幅を狭めてしまうリスクもあります。

一方で「スキルがついた」「チャンスが多い」という人も

その一方で、「SESを通じて多くの現場を経験できた」「技術だけでなく、折衝力や提案力といった“非技術スキル”も磨けた」と語るエンジニアも少なくありません。

たとえば、あるエンジニアはクラウドの保守案件から開発補助、設計支援とステップアップし、2年後には年収100万円以上アップし、PM補佐に抜擢されました※1。

モヤモヤを「論理と事実」で紐解く

SESという働き方が「あり」なのか「なし」なのかは、白黒で語れるものではありません。
重要なのは、ネガティブな声に引っ張られる前に、SES業界の現実を正しく理解することです。

データと事例から見るSESのポジション

日本のIT業界が抱える現実

経済産業省の調査によれば、2030年には最大で約79万人のIT人材が不足するとされており、企業の約80%が人材不足を実感しているという結果が出ています※2。

さらに総務省やIPAの調査によると、日本のエンジニアの約72%がSIerやSESといった外部ベンダー企業に所属しており、自社でエンジニアを抱えるユーザー企業はわずか28%程度※3。これは、アメリカでは逆に65%以上がユーザー企業所属である構造と比べて、特異なバランスです※4。

この構造により、日本のエンジニアは自社内で一気通貫の開発経験を積みにくく、現場で実務に触れる」環境としてSESが担っている役割は大きいと言えます。

「SESで市場価値は上がるのか?」──論点の整理

案件の幅と技術領域の広さ

インフラ・クラウド・セキュリティ・業務系システム開発など、SESでは多様な技術領域に携わるチャンスがあります。複数の現場で経験を積むことで、業界横断的な知識や技術を獲得でき、結果として市場価値の高い「汎用性のある人材」になれる可能性が上がります。

スキルだけじゃない:折衝・調整力など非技術面の成長

SESでは、クライアント企業の一員として働くことになるため、ヒアリング力や調整力、報連相スキルといった「非エンジニア的」な能力も自然と磨かれます。これらは将来的にPLやPMを目指すうえで重要な基盤になります。

どんなキャリアにも応用できる「土台づくり」としてのSES

SESを通じて得られるスキルセットは、将来的に受託・自社開発・フリーランスなど、あらゆる働き方に応用が効くキャリアの「土台」となります。SESを目的ではなく「手段」と捉えることで、市場価値を高めることができます。

伸びるSESと、停滞するSES──何が違うのか

案件の選択権があるか

「成長につながる案件に入れるか」は、SESキャリアの成否を大きく左右します。キャリア面談があり、案件選定に意見を出せる企業かどうかは、企業選びで必ず確認したいポイントです。

教育/資格支援の有無

スキルアップには、業務外での学習環境も不可欠です。資格取得支援や学習制度、OJT以外の教育体制が整っているかをチェックすることで、自主成長できる環境かどうかを判断できます。

自分のキャリアビジョンに合った環境かどうか

ただ「技術を学びたい」という漠然とした目的ではなく、「3年後にどんな自分になりたいか」が明確な人は、企業選びにも迷いがありません。ビジョンに合致した企業であるかどうかを、冷静に見極めましょう。

単価やマージン率が開示されているか

SES業界では「自分はいくらで取引されているのか」がブラックボックスになっていることも多く、不透明なマージン設定が不信感につながります。
一方、エンジニアに対して「案件単価」「マージン率」を開示している企業は、報酬に納得感があり、エンジニアとの信頼関係を大切にしている傾向があります。
これは単なる金銭の話だけでなく、自分の市場価値を「数値で把握できる」という成長意識にも直結します。

よくある失敗パターン:待機と単調業務の繰り返し

案件に入れず「待機期間」が続いたり、スキルが伸びないルーティン作業ばかりを長年続けてしまうと、結果として市場価値の上がらないキャリアになってしまう恐れがあります。
こうした事態を避けるためにも、企業選びや自分の「軸」を持つことが何より重要です。

まとめ:「SESは“あり”か?」の答えは「あなたの選び方次第」

SESという働き方は、選び方と使い方次第で「キャリアの加速装置」になります。ネガティブな先入観だけで判断するのではなく、構造的な理解自分なりの目的意識を持って向き合うことが、納得のいくキャリア形成につながります。

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最後に押さえておきたい3つのポイント

  • SESは「市場価値を上げるための実践経験の場」になり得る
  • 案件・教育・裁量のある環境を選ぶことで“伸びるキャリア”を築ける
  • 自分の目的に照らして「選び」「使いこなす」ことで武器になる

出典一覧

  • ※1:Geekly「SESの将来性とは?将来性があるSES企業の見極め方も解説」
  • ※2:経済産業省「IT人材需給に関する調査(2019)」, IPA「DX白書2023」
  • ※3:総務省「令和元年度 情報通信白書」、IPA「IT人材白書2017」
  • ※4:米国におけるユーザー企業所属比率データ

この記事を書いた人

久保田 泰一郎

久保田 泰一郎

KUBOTA TAIICHIRO

株式会社Necmos 代表取締役

2019年レバレジーズ株式会社に新卒入社。新規事業立ち上げメンバーとして、M&Aアドバイザリー事業に携わった後、株式会社Necmosを創業。経営業務を行う傍ら、主にプライム企業を対象に、コンサルティング/PMO業務に従事。“自分らしさが誰かのためになる世界”の実現に向けて、日々邁進中。

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