SES業界知識
SES企業とは?メリット・デメリットから理解する

最終更新:2025.03.07
公開:2025.03.05
SES(System Engineering Service)は、ITエンジニアにとって一度は耳にすることがある言葉です。しかし、実際にどのような働き方を指すのか、どのようなメリットやデメリットがあるのか理解を深めてみましょう。
本記事では、SESの基本的な仕組みやその働き方について分かりやすく解説します。また、SES企業で働くメリットとデメリットをご紹介し、働く上でのイメージをつけることで、あなたに合った働き方を見つけるためのヒントになるはずです。
この記事でわかること
- SES企業の仕組みや特徴の明確な理解
- 働き方と契約形態の違いの認識
- キャリア形成の方向性やキャリア構築のコツ
Necmos編集部
Necmos編集部は、現場で活躍するエンジニアの声やリアルな経験に基づいた信頼性の高い情報を発信し、読者が自身のキャリア形成に役立てられるようサポートしています。 また、エンジニア一人ひとりの価値観や想いを大切にしながら、業界最高水準の給与還元を透明性の高いマージン設計で実現することで、エンジニアが安心してキャリアに集中できる環境を整えています。
SES企業とは?基本概念と働き方を解説
そもそもSESとは、簡単に言うと、クライアント企業のプロジェクトを手助けするエンジニアを提供するサービスのことです。
ITエンジニアとして働く上で、この仕組みを理解することはキャリア形成にも役立ちますし、SES企業に興味を持っている方には特に大切なポイントです。
この章では、SESの基本的な仕組みや特徴、エンジニアの働き方について、わかりやすく解説していきます。
SESについての理解を深める第一歩として、ぜひ参考にしてください!
SESの定義と特徴
SES(System Engineering Service)とは、クライアント企業のプロジェクト現場にエンジニアを派遣し、システム開発やインフラ構築、運用サポートなどITに関するさまざまな業務を行う業態のことです。
特徴的なのは、エンジニアがSES企業に雇用されている点です。
派遣労働者とは異なり、契約は主にプロジェクト単位で結ばれ、業務の内容や期間が明確に定められるため、エンジニアには柔軟な働き方が求められます。
そのためSESでは、クライアント企業がリソース不足を補うためや、特定分野の専門知識を活用したい場合に重宝されています。
SES契約の仕組み
SES契約では「準委任契約」と呼ばれる業務委託契約の形式が一般的です。
この契約形態では、SES企業に雇用されたエンジニアがクライアント企業の指示の下で業務を遂行します。
ただし、SES契約では成果物の納品が主な目的ではなく、業務遂行そのものが重要とされます。
エンジニアが作業を進める中で、クライアント企業との密なコミュニケーションが求められるため、業務内容が変化する場合でも柔軟に対応できるのがSES契約の強みです。
他の契約形態との違い
SES契約は、請負契約や派遣契約と比較しても独自の特徴があります。
請負契約は業務の完成や納品が契約の条件となり、納期や成果物の品質が重視されます。
派遣契約は派遣法に基づき、エンジニアは派遣先企業の社員と同様に指揮命令を受けて業務を行います。
これに対してSES契約では、SES企業がエンジニアの雇用主であるため、派遣法の適用外となる点が異なります。
そのため、エンジニアはSES企業から給与や福利厚生を受けつつ、クライアント企業で専門性や各個人が持ちえる価値を発揮することができます。
SES企業で働くメリット
SES企業で働くことは、エンジニアとしての成長やキャリア形成に役立つ多くのメリットがあります。
特にIT業界で経験を積みたい方や、ITのスキルアップを目指す方には理想的な環境が整っています。
SES企業で働くことの具体的なメリットを詳しくご説明します。
育成・サポートが手厚い
SES企業の中には、エンジニアのスキルアップやキャリア形成を積極的に支援している企業も多く存在します。
ITエンジニアは2030年までに最大79万人が不足すると言われているため、企業も教育に力を入れていることが多いです。
具体的には、プログラミングやクラウド技術に関する研修プログラム、資格取得のための費用補助、さらにはキャリアサポートを提供する企業もあります。
未経験者向けのサポートが充実している企業であれば、安心してITエンジニアとしてのキャリアをスタートすることができます。
キャリアチェンジや新たな挑戦がしやすい
SES企業での働き方は、多くの業界やプロジェクトに挑戦できる柔軟性を持っています。
案件の内容が異なるため、自分の得意分野を広げるだけでなく、これまで挑戦したことのない分野にも進出しやすいのが特徴です。
たとえば、これまでバックエンド開発をメインにしていたエンジニアがフロントエンドの案件に携わったり、開発経験を活かしてインフラ構築のプロジェクトに挑戦することもできます。
こうした多様な経験を通じて、自分の適性やキャリアパスをより深く見極めることができます。
社会的な価値を理解できる
社会における自身の価値を認識することは働くモチベーションを保つ上で重要です。
昨今多くのSES企業ではその社会的価値の可視化を目的とし、「単価連動型」の給与制度を設けています。
「単価連動型」の給与制度で働き自身の価値を認識することで、さらなる金銭的なモチベーションを得たり、自身の成長を促進したりすることができます。
自分の希望に応じた働き方が可能
SES企業では、エンジニアのスキルやキャリア目標に合った案件を選ぶことができるため、柔軟な働き方を実現できます。
たとえば、「最新技術を使うプロジェクトに参加したい」「ワークライフバランスを重視したい」「自分の特性にあった業務を行いたい」といった希望を考慮して案件を選べる企業もあります。
このような柔軟性は、ライフステージに応じた働き方を実現したいエンジニアにとって大きなメリットになります。
SES企業で働くデメリット
SES企業での働き方には多くのメリットがある一方で、注意すべきデメリットも存在します。
さまざま存在しますが、部分的にはSES企業の取り組み方によってデメリットが改善される場合もあります。
プロジェクトの安定性に依存
SESエンジニアはプロジェクト単位で働くため、契約が終了すると次の案件を探さなければなりません。
案件が途切れた場合、一定期間仕事がない「待機期間」が発生するリスクがあります。
この空白期間中の給与が保証されるかどうかは企業によりますが、経済的な不安を感じることもあるでしょう。
さらに、希望する案件がタイミング良く見つからない場合、自分のキャリアにとってプラスにならない案件に携わらざるを得ないケースも考えられます。
成長実感を得にくい場合がある
プロジェクトによっては、特定の作業ばかりが求められることがあります。
たとえば、単純な運用保守やテスト業務が続く場合、新しいスキルを学ぶ機会が少なく、成長実感を得にくいと感じるかもしれません。
また、プロジェクトの内容によっては、個人での学習やスキルアップが必要となる場面もあります。
社内文化への関与が少ない
SESエンジニアはクライアント企業の現場に常駐するため、所属しているSES企業の社内文化や同僚との交流が希薄になりがちです。
自社のオフィスに戻る機会が少ない場合、「自分は会社の一員である」という帰属意識が薄れ、孤立感を感じることもあります。
特にチームワークや社内イベントを大切にしたいと考える人にとっては、大きなデメリットとなるかもしれません。
待遇や環境に対する不満が出ることも
SES企業によって案件選びのサポートが不十分だったり、エンジニアの働きやすさを考慮した環境が整備されていなかったりする場合があります。
また、クライアント企業の現場が自分に合わない環境であれば、ストレスを感じる要因になります。
たとえば、職場の雰囲気や業務内容が自分の価値観や目標と合致しない場合、モチベーションの低下や早期退職につながる可能性もあります。
SES企業に向いている人とは?
SES企業で働くことには、特有の魅力と働き方があります。
しかし、この環境で成功するには、特定の性質が求められるのも事実です。
SES企業でのキャリアを考える際、自分がSESでの働き方に向いているかを見極めることが非常に重要です。
ここでは、SES企業で活躍しやすい人の特徴について詳しく解説します。
柔軟な働き方が好きな好奇心の強い人
SES企業での働き方の特徴は、プロジェクトごとに異なる現場や仕事内容に対応する柔軟性が必要な点です。
たとえば、あるプロジェクトでは運用や保守に携わることもあり、次のプロジェクトではシステム開発の中心的な役割を担うこともあります。
このように、人間環境や仕事内容が頻繁に変化することを楽しめる人や、新しい現場での挑戦を前向きに捉えられる人に向いています。
「毎日同じことをするよりも、さまざまな経験をしたい」と考える方には刺激の多さが魅力に映るでしょう。
コミュニケーションを積極的に取れる人
SES企業では、多様な現場で働くため、プロジェクトごとに現場での人間関係が異なります。
新しい環境で人間関係を構築して、いち早くプロジェクトの一員になれるかどうかが非常に重要です。
新しい現場に参画したら積極的にコミュニケーションを図ることで、困った時に助けてくれる存在を作ることができます。
「新しい環境に飛び込むことが苦にならない」「人との関係性を作るのが得意」という方に特に向いています。
長期的なキャリアビジョンを描ける人
SES企業での経験は、プロジェクト単位で積み重ねられます。
これにより、多様な業界や技術に触れることができますが、同時に自分のキャリアビジョンをしっかりと持つことが求められます。
たとえば、「インフラエンジニアからクラウドエンジニアへステップアップしたい」「技術側よりも、管理側の業務で自身の価値を発揮したい」など、明確なゴールを持つことで、プロジェクト選びやスキルアップの方向性が見えてきます。
長期的な目線で計画を立て、経験を一つひとつ自分の成長に結びつけられる人には最適な環境だと言えるでしょう。
目標に向かって学習・鍛錬ができる人
上記の通り、長期的なビジョンを達成するために、相応の行動が求められます。
エンジニアは技術職人であり、自己学習を継続することができない場合、目標への道は長く感じてしまうかもしれません。
「次はこの技術を習得しよう」「この経験を活かしてステップアップしよう」と計画的に動ける人が、SESの働き方を最大限に活かすことができます。
たとえば、資格取得を目指したり、特定の技術領域での専門性を深めたりする努力を続けられる人に向いています。
SES企業で成功するためのポイント
SES企業で働くことを選んだエンジニアにとって、プロジェクトごとに多様な経験を積める環境は大きな魅力です。
しかし、SES業界における環境を最大限に活用するためには、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。
ここでは、SES企業で成功するための具体的な方法を詳しく解説します。
自分の希望やスキルに合った案件を選ぶ
SES企業での働き方において、案件選びはキャリア形成の重要な鍵となります。
自分の強みや目指すキャリアに合った案件を選ぶことで、成長の方向性を明確にできます。
たとえば、「最新のクラウド技術を学びたい」「リーダーシップを発揮できるプロジェクトに参加したい」など、具体的な目標を設定することが大切です。
さらに、信頼できる営業担当やマネージャーと連携し、自分の希望や目標をしっかり共有することも成功するための基本です。
自分に合わない案件に長期間従事してしまうと、成長の機会を逃してしまう可能性があるため、慎重な選択が求められます。
信頼できるSES企業を選ぶ基準
SES企業選びは成功のためには絶対に欠かせないポイントです。
企業の透明性やサポート体制を確認することが、安心して働ける環境を見つける鍵となります。
具体的には、以下のような点をチェックしましょう。
案件情報の透明性
- 案件の詳細な情報を正確に教えてもらえる
- 単価やリモート頻度などを細かく教えてもらえる
- 参画する案件を複数件以上から選べる
サポート体制
- エンジニアのスキルアップやキャリア形成を支援する制度が整っている
→自身の将来について一緒に考えてくれるキャリア支援がない企業だと、自分でキャリアを考えなければならず、不安が募ります。
福利厚生や待遇
- 給与や労働条件が妥当かどうか
- どのように自身の給与を上げることができるのか
→評価制度や給与アップの方法を事前に企業側へ確認しておくことで、エンジニアとして市場価値や自身の成長に対して、適切な金銭が得られているかどうかを知ることが大切です。
プロジェクトごとにスキルアップを目指す
SES企業で成功するためには、プロジェクトを単なる業務の場と考えるのではなく、自己成長のための学びの場として活用する姿勢が必要不可欠です。
プロジェクトごとに新しい技術やツール、働き方、コミュニケーション能力を積極的に習得し、自分の市場価値を高める意識を持ちましょう。
たとえば、新しいプログラミング言語や開発手法に触れる機会を見つけた際には積極的にチャレンジしたい意図を伝え、アピールすることで次のキャリアステップにつなげることができます。
しかし、自分よがりに主張しても実現することは難しいため、いかに双方が納得するかを考える力も必要になってきます。
プロジェクトごとの経験値を高める意識が強いエンジニアほど、業界の中では価値が高いとされています。
まとめ:SES企業で働くメリット・デメリットを理解し、自分らしいキャリアを選ぼう
SESは、多様な経験を積むチャンスを提供する一方で、プロジェクトの安定性や自分に合った案件選びの重要性を伴います。
メリットとデメリットをしっかり理解した上で、自分のキャリアに最適な選択をしましょう。
SES企業との良い出会いが、あなたのキャリアの可能性を広げる第一歩です。
この記事を書いた人

千賀 勇輝
SENGA YUKI
株式会社Necmos 取締役
2019年株式会社ネオキャリアに新卒入社。450人の新卒から抜擢され、子会社の立ち上げに参画。その後、Web広告企業に転職した後、キャリアコーチングに出会う。過去に転職で悩んだ経験から、コーチングの重要性を痛感し、株式会社Necmosを創業。キャリア伴走型エージェント事業の統括を行い、社員へのキャリアサポートに情熱を注いでいる。
この著者の記事一覧を見る