SESの転職
未経験OKのSES転職は実際どう?働き方・キャリアパスを解説

最終更新:2025.05.09
公開:2025.05.07
「IT業界に興味はあるけど、未経験で本当に転職できるの?」
そんな不安を抱える人にとって、SES(システムエンジニアリングサービス)は有力な選択肢です。特に営業や事務職など異業種からの転職者に門戸が広がっており、実務を通じてスキルを習得できるのが特徴です。
本記事では、未経験からSESで働くリアルな実情やキャリア形成のヒントを解説し、自分に合った一歩を踏み出すための情報をお届けします。
この記事でわかること
- 未経験からSES転職が可能な理由
- 未経験からSESで働くメリットとデメリット
- 企業選びで見るべきポイントと注意点
Necmos編集部
Necmos編集部は、現場で活躍するエンジニアの声やリアルな経験に基づいた信頼性の高い情報を発信し、読者が自身のキャリア形成に役立てられるようサポートしています。 また、エンジニア一人ひとりの価値観や想いを大切にしながら、業界最高水準の給与還元を透明性の高いマージン設計で実現することで、エンジニアが安心してキャリアに集中できる環境を整えています。
未経験からSESは本当にアリ?よくある不安と現実
「やめとけ」と言われる背景とその実情
「SESはやめとけ」と言われる背景には、キャリア支援のない企業や、希望しない現場への配属、劣悪な労働環境などのネガティブな体験談が多く影響しています。
しかし、これはあくまで一部の事例であり、すべてのSES企業に当てはまるわけではありません。
近年は、サポート体制や透明性を重視する「新しいSES企業」も増えており、働きやすさや成長環境に配慮された選択肢が広がっています。
正しい情報をもとに企業を見極めることが大切です。
実際には未経験歓迎の求人が多い理由
IT業界は慢性的な人材不足に直面しており、未経験者を積極的に採用する企業が年々増加しています。
特にSESは、クライアント先ごとに多様な案件があるため、エンジニアの育成が前提の「未経験歓迎」の求人も多いのが特徴です。
研修やOJTを通じて、現場で実践的に学べる環境が整っている企業も多く、ポテンシャル重視の採用が主流になりつつあります。
未経験でも、意欲さえあれば十分にチャンスがあります。
求められるスキルよりも「姿勢」や「将来」が重視される傾向
未経験からSESを目指す場合、技術的なスキルよりも「学ぶ姿勢」や「素直さ」「成長意欲」といったマインド面が重視される傾向があります。
現場ではチームで動くことが多いため、コミュニケーション能力や協調性も重要視されます。
実務を通してスキルを伸ばせる環境が整っている場合、自分の強みを活かしながら成長することが可能です。
これからの可能性に期待される採用が多く、ポテンシャル重視の文化が根付いてきています。
未経験からSESで働くメリット
採用ハードルが低く、IT業界への入り口として最適
SESはIT人材の需要が高いため、未経験者でも採用されやすいのが大きな魅力です。
スキルよりも「これから成長していく意欲」を重視する企業が多く、異業種からでも挑戦しやすい環境が整っています。
中でも、営業や事務などのビジネス経験がある人材は、現場でのコミュニケーション力を評価されることも多く、IT業界への第一歩として最適です。
現場経験を積みながら、将来的に専門性の高いポジションを目指すことも可能です。
実務を通してキャリアを積みやすい
SESでは、実際の開発や運用の現場で働くため、机上の学習では得られない「実務経験」を積むことができます。
IT業界では経験値が非常に重視されるため、早くからプロジェクトに関わることで、キャリアアップのスピードが加速します。
また、現場での評価が次の案件やステップに直結することも多く、努力が報われやすい環境です。
未経験でも「やりながら学ぶ」ことができるため、実践力が自然と身につきます。
豊富な案件からスキルの幅を広げられる
SESの魅力の一つが、さまざまな業界・分野の案件に携われることです。
インフラ構築からクラウド、ヘルプデスク、開発補助まで、幅広い業務を経験することで、自分に合った分野や得意な技術を見つけやすくなります。
特に未経験の段階では「どの領域に進むか」が明確でないことも多いため、多様な案件に関わる中で、自分のキャリアの方向性を見極めるチャンスにもなります。
スキルアップ支援・資格取得支援などの制度がある
多くのSES企業では、未経験者の成長を支援するために、研修制度や資格取得支援を整えています。
例えば、ITパスポートや基本情報技術者などの資格取得に向けた費用補助や、勉強時間の確保支援がある企業です。
また、学習コンテンツの提供や、技術コミュニティへの参加支援など、自己学習を継続しやすい環境づくりにも力を入れています。
「学び続ける力」が求められるIT業界において、こうした制度は大きな後押しになります。
SESで働く前に知っておくべきデメリット
アサイン先次第でスキルがつきにくいこともある
SESでは配属される案件によって得られる経験やスキルが大きく変わります。
例えば、ヘルプデスクや監視業務といったルーティン中心の案件に長く携わると、技術的な成長が感じにくいこともあります。
そのため、自ら学ぶ姿勢やスキルアップへの意識が求められます。
理想的なのは、段階的に難易度の高い案件へステップアップできる環境を提供してくれる企業を選ぶことです。
配属先の選定基準やサポート体制の有無は、事前にしっかり確認する必要があります。
案件ガチャ・職場環境の運任せ要素がある
SESでは基本的にクライアント先に常駐するスタイルが一般的であり、どの現場にアサインされるかは運次第な面もあります。
職場の雰囲気や上司、業務内容は選べないことも多く、いわゆる「案件ガチャ」と呼ばれる運任せ要素に不安を感じる人も少なくないです。
希望が通りやすい制度や、事前に案件を確認できる企業を選ぶことで、こうしたリスクを軽減できます。
アサイン後のフォローや、変更希望が出せるかどうかも企業選びの大切なポイントです。
キャリアの方向性が不明確になりがち
SESでは多様な案件に関わる一方で、自分のキャリアがどこに向かっているのか見えにくくなることもあります。
特に未経験から入る場合、「今の仕事が将来にどうつながるのか」が分かりづらく、成長実感を持ちにくいことがあります。
だからこそ、自分の目指す方向性に合った案件にチャレンジできるかどうかが重要です。
キャリア支援がある企業や、面談・相談の機会が用意されている会社であれば、方向性の軌道修正もしやすくなります。
「新SES」の登場
旧SESと新SESの違い(還元率、単価開示、案件選択制など)
従来のSES(旧SES)では、給与の決定基準や案件内容が不透明で、エンジニアにとって不満が残るケースも多くありました。
しかし、最近は「新SES」と呼ばれる企業が登場し、透明性の高い運営を行っています。
代表的な違いは、エンジニアの単価を開示し、報酬の還元率も明示している点です。
また、本人の希望に応じて案件を選べる「案件選択制」も導入されており、自分のキャリアや働き方に合ったプロジェクトを選びやすくなっています。
ブラックなSESを避けるために見るべきポイント
ブラックなSESに入ってしまわないためには、事前に企業の体制や方針をしっかり確認することが重要です。
例えば、単価開示の有無や、還元率の明示、案件選択ができるかといった点はチェックすべき基本項目です。
また、キャリア支援や定期面談があるか、アサイン後のフォロー体制が整っているかも判断材料になります。
口コミサイトや転職エージェントからの情報も活用しながら、情報収集を徹底しましょう。
新SESの魅力:透明性、キャリア支援、フルリモートなど
新SESの大きな魅力は「透明性」と「自由度の高さ」です。
単価・報酬の開示に加え、キャリア面談や資格取得支援などのサポートも充実していることが多いです。
中にはフルリモート勤務を実現している企業もあり、働き方の柔軟性が高まっています。
また、エンジニアの希望やスキルレベルに応じた案件提案があるため、自分の成長ステージに合わせた働き方が可能です。
やりがいと働きやすさを両立できる点が、新SESの強みといえるでしょう。
新SESを見極める4つのポイント
単価開示があるか
単価開示とは、自分がアサインされる案件の「契約単価(クライアントから企業へ支払われる金額)」をエンジニア本人に開示することを指します。
これにより、自分の報酬がどのように決まっているのか、どれだけ還元されているのかを把握できます。
透明性の高い新SESは、この単価を正確に提示し、納得のいく報酬体系を実現しています。
不透明な報酬体系に不安を感じることなく働けるかどうかの判断材料になります。
案件選択制度があるか
新SESの多くは、エンジニア本人が参加したい案件を選べる「案件選択制」を導入しています。
この制度があることで、自分の興味・スキル・キャリアプランに合ったプロジェクトに参画できるため、スキルアップやモチベーション維持にもつながります。
反対に、案件を企業側が一方的に決定する体制だと、希望しない環境で働くリスクもあります。
自身のキャリアを主体的に築きたい人にとって、重要なチェックポイントです。
キャリア支援制度が整っているか
新SESでは、エンジニア一人ひとりの成長を支援する制度も充実している傾向にあります。
具体的には、定期的なキャリア面談、スキルチェック、資格取得支援、学習コンテンツの提供などが挙げられます。
こうした支援があるかどうかで、将来のキャリアの広がりやすさが大きく変わります。
単なる労働力としてではなく「育てる」姿勢のある企業を選ぶことで、長期的に活躍できる環境が整います。
還元率の高さ(=給与水準)
SES業界では、クライアントから受け取った契約単価のうち、どれだけをエンジニアに還元しているかを示す「還元率」が給与に直結します。
新SESでは、この還元率を60〜80%と高く設定し、頑張った分が正当に報われる仕組みを導入している企業も増えています。
逆に還元率が低く、収入が不透明なままだと、モチベーションの低下につながりやすいです。
自分の働きに見合った収入が得られるかは、非常に重要な判断基準です。
チーム体制やコミュニティの有無
SESはクライアント先での常駐が多いため、孤立感を感じやすい一面もあります。
そこで、社内にチーム体制や技術者同士のコミュニティがあるかは重要なポイントです。
例えば、定期的な情報交換の場や技術勉強会、チャットツールでのつながりなどがあると、悩みを相談しやすく、モチベーション維持にもつながります。
組織に属している安心感が得られるかどうかは、働きやすさに直結します。
最初の企業選びがキャリアを左右する理由
初参画で得られる経験が将来の方向性を決める
SESにおいて最初にアサインされる案件は、その後のキャリアに大きな影響を与えます。
初参画でインフラ、開発など、どの分野に関わるかによって、得られるスキルや専門性が変わるため、方向性を見極めるきっかけにもなります。
未経験者にとっては「どんな経験を積めるか」が重要であり、単純作業だけで終わってしまう環境だと成長が鈍化することも少なくないです。
配属先の質に目を向けることが、将来のキャリア設計の第一歩です。
「参画後のサポート体制」があるかを重視すべき
SESでは現場に出てからのサポートが非常に重要です。
技術的な相談ができるメンターや定期的なフォロー面談があるかどうかで、働く安心感や成長スピードは大きく変わります。
特に未経験者の場合、つまずきやすいポイントを誰に相談できるかが明暗を分けます。
放置されるリスクを避けるためにも、「アサイン後のフォロー体制が整っているか」「孤立しない仕組みがあるか」は、企業選びで必ずチェックすべき要素です。
自分の希望や適性を伝えやすい環境かチェック
自分のキャリア希望や苦手分野を正直に話せる雰囲気があるかも、企業選びで大切なポイントです。
案件の選定や配属のタイミングで、希望が反映されるかどうかは、その後のモチベーションや成長に直結します。
また、現場での悩みやキャリアの方向性を気軽に相談できる風通しの良さも、長く安心して働くためには不可欠です。
コミュニケーションが取りやすく、個々の適性に寄り添ってくれる企業かを見極めましょう。
新SESで実際に描けるキャリアパス|未経験からエンジニアへ
新SESでは、未経験からスタートしても明確なキャリアパスを描ける環境が整っていることが多いです。
実務を通じてスキルを積みながら、クラウドエンジニアや社内SEなど多様な職種へステップアップ可能です。
成長支援や案件選択の自由度が、その実現を後押しします。
前職 | 1〜2年目 | 2〜4年目 | 現在(4年目以降) |
---|---|---|---|
営業職 | ヘルプデスク | サーバ運用・保守 | AWSインフラエンジニア |
事務職 | テストエンジニア | 開発サポート・運用改善 | Webアプリケーション開発エンジニア |
販売スタッフ | ITサポート | クラウド構築アシスタント | 社内SE(情シス) |
飲食店マネージャー | 監視オペレーター | ネットワーク構築補助 | セキュリティエンジニア |
コールセンター | ヘルプデスク | 社内ツール改善・自動化 | RPAエンジニア |
まとめ | SESは未経験者のキャリアの「スタート地点」
未経験からでも挑戦しやすいSESは、IT業界への入り口として最適です。
メリットと注意点を理解し、企業を見極めれば十分に活躍可能です。
将来のキャリアビジョンに向けたステップとして活用する意識が重要で、「最初の1社」の選び方がその後の成長を大きく左右します。
この記事を書いた人

能宗 新
NOUSOU ARATA
株式会社Necmos フロントエンドエンジニア
大学卒業後、新卒でSES企業に入社するも、自身の将来性に危機感を抱いたことをきっかけに、株式会社Necmosに入社。デジタルクリエイティブ事業部の初期メンバーとして、開発未経験の状態から様々な受託案件に携わった後、再びSESとして金融系や官公庁系などの現場業務に従事。SESと受託開発の両方を経験することで"視野の広がり"を感じ、今後さらに対応領域を広げるべく、デジタルクリエイティブ事業に再復帰し、Necmos社内のDX化やコンテンツマーケティングなどを推進している。
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