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SESで残業代が出ないのはなぜ?精算幅と固定残業代の落とし穴を解説

SESで残業代が出ないのはなぜ?精算幅と固定残業代の落とし穴を解説

最終更新:2026.05.25

公開:2026.05.25

「毎日現場で遅くまで残っているのに、給料日の明細を見ると残業代が1円も増えていない……」

「周りのプロパー社員が帰らないから自分だけ帰るわけにもいかず、結局サービス残業になっている」

SES(客先常駐)で働いていると、このような「納得のいかない残業」に直面することが少なくありません。実は、SESエンジニアの残業代が出ない背景には、「精算幅(せいさんばば)」「固定残業代」といった、業界特有の複雑な仕組みが隠れています。

結論から言えば、これらを正しく理解せずに働き続けるのは非常に危険です。最悪の場合、法的に支払われるべき賃金を搾取され続け、心身だけを消耗してしまうことになりかねません。

この記事では、自分の現状が「違法」なのか「契約上やむを得ない」のかを正確に判断し、今の状況を打破するための具体的なアクションを解説します。

この記事でわかること

  • サービス残業を強いられた時の具体的な対処フローと相談先
  • 「精算幅」と「固定残業代」によって残業代が消える理由
  • 自分の契約形態(準委任・派遣など)における残業指示のルール
  • 二度とブラックな現場・案件に捕まらないためのチェックリスト
1)

SESで残業代が出ないのは違法?まずは「契約形態」と「3つの書類」を確認

この記事の監修者

株式会社Necmos

Necmos編集部

Necmos編集部は、現場で活躍するエンジニアの声やリアルな経験に基づいた信頼性の高い情報を発信し、読者が自身のキャリア形成に役立てられるようサポートしています。 また、エンジニア一人ひとりの価値観や想いを大切にしながら、業界最高水準の給与還元を透明性の高いマージン設計で実現することで、エンジニアが安心してキャリアに集中できる環境を整えています。

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SESで残業代が出ないのは違法?まずは「契約形態」と「3つの書類」を確認

「残業しているのに手当がつかない」と感じたら、まず「法的・契約上の根拠」を確認しましょう。SESの現場では、ここの認識が曖昧なまま残業をこなしているケースが非常に多いからです。

残業代の有無を左右する「雇用契約書・就業規則・案件注文書」

残業代を受け取るための条件を確認するには、以下の3つの書類を読み解く必要があります。

  1. 雇用契約書:基本給や手当の内訳、労働条件が記された最重要書類です。
  2. 就業規則:残業代の計算方法や、休憩時間の規定などが細かく書かれています。
  3. 案件注文書(個別契約書):自社と客先の間で結ばれる、その案件固有の精算条件が書かれた書類です。

特に3つ目の「案件注文書」には、後述する「精算幅」が記載されています。自分では見られない場合も多いですが、自社の営業担当に「今回の案件の精算条件はどうなっていますか?」と確認してみても良いでしょう。

準委任・派遣・請負の違いと残業指示のルール

SESには大きく分けて3つの契約形態があり、それぞれ「誰が残業を命令できるか」が法律(労働者派遣法や職業安定法)で厳格に決まっています。

契約形態

残業の指示を出す人

法的な関係

労働者派遣

客先の担当者

指揮命令権が客先にある

準委任契約

自社の上司・管理責任者

客先に指揮命令権はない

請負契約

自社の上司・管理責任者

客先に指揮命令権はない

現在のSES(客先常駐)の主流は「準委任契約」です。この場合、客先のプロパー社員があなたに「今日は残って作業して」と直接指示を出すことは、実は認められていません。

客先からの直接指示はNG?「偽装請負」のサインを見逃すな!

もし、準委任契約なのに客先から直接「残業して」と言われ、それを断れない状況にあるなら、それは「偽装請負」という違法状態の可能性があります。

本来、残業の必要性は自社の管理責任者が判断し、あなたに指示を出すべきものです。客先の顔色を伺ってサービス残業をする必要はありません。客先から直接強い指示がある場合は、すぐに自社の担当者に報告すべき事案です。

【チェック:契約形態の確認】

・面談時や参画前に「この案件の商流と契約形態」を自社に確認しましたか?

・客先のプロパー社員から直接、業務の細かい指示や残業命令を受けていませんか?

なぜ給料が増えない?「精算幅」と「固定残業代」二つの理由を徹底解説

残業をしているのに給与が増えない理由は主に二つあります。

理由①:精算幅(140h-180hなど)で残業代がカットされる仕組み

SES業界特有の「精算幅」とは、月間の労働時間が一定の範囲内であれば、月額単価を変動させないという契約です。

例えば「140h〜180h」という精算幅の場合、141時間働いても179時間働いても、会社が客先から受け取る金額は変わりません。これに合わせ、エンジニアに支払う残業代も「180時間を超えるまでは発生しない」と規定している会社が非常に多いのです。

理由②:固定残業代(みなし残業)の時間を超過していないケース

もう一つの理由は「固定残業代」です。給与の中に、あらかじめ「月20時間分」などの残業代が含まれている形式です。

もし、あなたの月の労働時間が170時間(定時160h+残業10h)であれば、固定残業代の範囲内であるため、給与は1円も増えません。

あなたの残業代が出ない本当の理由はどっち?

以下の表を参考に、自分の給与明細と契約書を照らし合わせてみてください。

状態

原因

結論

残業しても1円も増えない

精算幅の「下限〜上限」の間で働いている

契約上、会社に支払う義務がない可能性大

180h超えても増えない

固定残業代をまだ消化しきれていない

固定残業時間を超えるまでは増えない

上記どちらにも当てはまらない

会社が意図的に未払いしている

完全に違法です

【チェック:給与条件の確認】

・求人票や契約書に「固定残業代」は何時間分と記載されていますか?

・「超過精算」は、自社の規定で何時間から発生することになっていますか?

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3.サービス残業を強要された時の具体的対処フロー

「契約上、残業代が出ない範囲だから」といって、この働きかたは正しいのでしょうか。

客先への「プロ意識」と「自己犠牲」を混同してはいけない

エンジニアとして現場に貢献する「プロ意識」は大切ですが、無償労働(サービス残業)をすることはプロの仕事ではありません。それは単なる「会社の管理不足」です。あなたが一人で抱え込む必要はないのです。

ステップ1:客先ではなく「自社の管理責任者」へ即相談する

「周りが帰らないから帰りにくい」「客先に残業を頼まれた」という状況になったら、まず自社の営業担当や上司に相談しましょう。

準委任契約や請負契約の場合は、「契約形態上、直接の指示は受けられないはずですが、どう対応すべきですか?」と、あえて事務的に相談するのがコツです。会社には、労働者の健康を管理し、適切な労働環境を提供する義務があります。

ステップ2:指示内容と実労働時間の「証拠(ログ)」を確保する

万が一の事態に備え、以下の情報を記録しておきましょう。

  • 客先の誰から、いつ、どのような指示を受けたか(メール、チャットのSS)
  • PCのログイン・ログアウト履歴
  • 交通系ICカードの履歴や、退室時の写真

    これらは、後に残業代を請求したり、会社と交渉したりする際の強力な武器になります。

【チェック:自社の体制確認】

・営業担当や上長に、現場の過度な残業や人間関係の悩みを相談できる窓口はありますか?


泣き寝入りしないための「自社交渉」と「最終手段」

会社に相談しても「現場のルールだから」「皆やっているから」とはぐらかされた場合、より強い姿勢で交渉する必要があります。

【そのまま使える】自社の担当者へ相談する際のメールテンプレート

角を立てずに、かつ論理的に現状を伝えるためのテンプレートです。

件名:常駐先での勤務時間および精算条件に関するご相談(氏名)

本文

お疲れ様です。〇〇(氏名)です。

現在参画中の〇〇案件につきまして、勤務状況のご報告と確認のためご連絡いたしました。

直近1ヶ月の残業時間が〇時間を超えており、客先担当者より直接残業の依頼も受けております。

私の雇用契約における「固定残業時間」および案件の「精算幅」を確認したところ、現状は残業代が発生しない範囲での労働となっておりますが、このままの稼働が続くことは健康管理および契約形態の観点から懸念を感じております。

つきましては、会社側から客先へ稼働調整の依頼、または超過分の取り扱いについてご検討いただけないでしょうか。ご確認よろしくお願いいたします。

会社が動かない・改善されな場合の「労働基準監督署」への相談方法

会社が対応を拒否したり、明らかに法外な労働を強いている場合は、労働基準監督署(労基署)への相談を検討してください。

労基署は「匿名」で相談することも可能です。前述した「証拠」を持参することで、労基署から会社に対して「是正勧告」を出してもらうことが期待できます。

【チェック:企業のコンプライアンス意識】

・あなたの会社は、残業時間をきちんと管理していますか?

・過去に未払い残業代などでトラブルになった噂はありませんか?


まとめ:あなたのスキルは正当な対価で売るべきである

SESエンジニアにとって、残業代が出ない仕組み(精算幅・固定残業代)は非常に複雑です。しかし、それを「業界の当たり前」として受け入れ、搾取され続ける必要はありません。

まずは、自分の雇用契約書と給与明細を見直し、「なぜ今、残業代が出ていないのか」を特定してください。もし会社が契約の隙間を突いてあなたを酷使しているなら、それは環境を変えるタイミングかもしれません。

エンジニアとしてのスキルは、あなた自身の資産です。この記事が、その資産を健全な環境で発揮するための参考になれれば幸いです。

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この記事を書いた人

山根 早映子

山根 早映子

SAEKO YAMANE

株式会社Necmos キャリアアドバイザー

新卒で証券会社に入社し、リテール営業・経営企画を6年経験。デジタル・AI化が進む中で「人だからこそ提供できる価値」を追求したいと考えるようになり、Necmosの掲げる「自分らしさが誰かのためになる世界」に共感し転身。現在は、多角的に人と時代を捉え、その人にしかない強みや可能性を引き出すことで、エンジニアが自分らしく活躍できるキャリア形成を伴走支援している。

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