SESのキャリア
「このままでいいのか?」と迷うあなたへ──SESから広がるキャリアの可能性

最終更新:2025.07.11
公開:2025.07.11
「このままでいいのか?」と感じたときに
日々の業務に慣れてくると、ふと「この先もこの仕事を続けていいのだろうか?」と感じることはありませんか?
将来像が見えにくいと、不安や迷いが生まれるのは自然なことです。
そんなときにこそ、**SES(システムエンジニアリングサービス)**という働き方を冷静に見直してみる価値があります
この記事でわかること
- なぜ今、SESが“経験を積む場”として理にかなっているのか
- SESだからこそ得られるスキルやキャリアの広がり
- 将来につながるSES企業の選び方と注意点
Necmos編集部
Necmos編集部は、現場で活躍するエンジニアの声やリアルな経験に基づいた信頼性の高い情報を発信し、読者が自身のキャリア形成に役立てられるようサポートしています。 また、エンジニア一人ひとりの価値観や想いを大切にしながら、業界最高水準の給与還元を透明性の高いマージン設計で実現することで、エンジニアが安心してキャリアに集中できる環境を整えています。
“このまま現場にいてもいいのか?”と感じる瞬間は、誰にでも訪れる
エンジニアとして現場に出ていると、こんなことはありませんか?
現場に参画して1年ほど経ち、業務にも慣れてきた頃。順調に業務を終わらせることができ、余裕も出てきた一方で、「この先、自分は何を目指していくのか」が見えなくなることがあります。
このまま同じような案件を続けて数年後、自分はどうなっているのか──
そんな漠然とした問いが、頭をよぎることもあるでしょう。
キャリアの差が、少しずつ気になりはじめる
同年代の友人がクラウド企業に転職したり、現場の先輩が別企業で年収を上げていたり。
周囲の動きを耳にするたび、自分のキャリアが停滞しているように感じることもあります。
SNSを見れば、「フルリモート」「副業OK」「年収アップ」といった働き方や、モダン技術の話題が次々と流れてくる──
そんな情報とのギャップに、不安を覚える人も少なくありません。
不安の原因は、“スキル”より“将来像”かもしれない
今の環境が悪いわけではない、でもこのままで良いとも思えない──
そのモヤモヤの背景には、「この先どうなりたいのか」が定まらないことや「将来の見通しがつかない」ことが大きく影響しているのかもしれません。
なぜ今、SESという環境が“経験を積む場”として理にかなっているのか
日本のIT業界が抱える現実
近年、IT人材の需要は年々高まっており、業界全体が深刻な人材不足に直面しています。
経済産業省の調査では、2030年には最大で79万人のIT人材が不足すると予測されており、約80%の企業が人材不足を実感しているという調査結果も出ています(※1)。
一方で、エンジニアの活躍の場はどうなっているかというと、ややいびつな構造が浮かび上がってきます。
総務省およびIPAの調査によると、日本ではITエンジニアの約72%がSIerやSESといった“外部ベンダー企業”に所属しており、自社でエンジニアを抱える「ユーザー企業」への所属は28%にとどまるのが実情です(※2)。
対照的に、アメリカではエンジニアの約65%がユーザー企業に所属しており、日本とは真逆の構造となっています(※3)。
このように、日本ではエンジニアが自社内で企画から開発・運用まで一貫して経験する機会が少なく、現場で「実務に触れる」ための環境はSESが担っている部分が大きいと言えるでしょう。
出典一覧
- ※1 経済産業省「IT人材需給に関する調査(2019)」、IPA「DX白書2023」
- ※2 総務省「令和元年版 情報通信白書」、IPA「IT人材白書2017」
- ※3 同上:米国におけるユーザー企業所属比率データ
経験を積みやすい現場が“SESに集中している”という現実
このような構造下において、日本でITエンジニアが実務経験を積める現場の多くが、SESを中心とするフィールドに集中しているのが現実です。
つまり、エンジニアにとって、「幅広い経験を積む場」としてSESを活用することは、現実的で合理的な選択肢とも言えます。
SESだからこそ得られるものとは?
スキルの幅を広げるチャンスが豊富
SESでは、所属する会社を通じて多種多様な現場に関わることができます。
たとえば、サーバー・ネットワークといったインフラ分野だけでなく、
ヘルプデスク、開発補助、テストエンジニア、業務系システム保守、クラウド導入支援、SaaS運用、Web開発補助など、IT業界における幅広い職種を経験できる可能性があります。
現場で得られる“非技術スキル”も価値が高い
技術だけでなく、顧客折衝・チーム開発・現場内調整といったコミュニケーション力も自然と養われます。
これは将来的に要件定義やPMなど上流工程を目指す上でも大きな武器になります。
自分に向いている領域を見極める時間にもなる
多様なプロジェクトに関わることで、「どんな技術が好きか」「何が得意か」「どの働き方が合うか」を知るための余白が生まれます。
SESから広がるキャリアパスの一例
SESでのキャリアは、自分のペースや志向に合わせて“カスタマイズ”できる可能性が高いです。
以下はあくまで一例ですが、参考としてご覧ください。
パターン①:インフラ・クラウド志向
- 1〜2年目:オンプレ環境でのサーバー運用・監視業務を担当し、障害対応や定型作業を習得
- 2〜3年目:仮想化技術やAWS/Azureといったクラウド構築業務へステップアップ
- 3〜5年目:IaC(Infrastructure as Code)やゼロトラスト環境など、モダンな運用設計にも関与
- 将来的には:クラウドアーキテクトやSRE(Site Reliability Engineer)として専門性を確立
パターン②:アプリ開発志向
- 1〜2年目:開発チームの一員としてテスト・ドキュメント作成、簡単な改修などからスタート
- 2〜3年目:要件定義補佐やUI実装など、開発の上流〜中流工程を経験
- 3〜5年目:Webアプリやモバイルアプリの新規開発に参画、フレームワークやCI/CDの実践導入も
- 将来的には:自社開発企業への転職や、フリーランスエンジニアとして独立も視野に
パターン③:社内IT・業務改善志向
- 1〜2年目:ヘルプデスクや業務システムの運用サポート、マニュアル整備などを担当
- 2〜3年目:社内ツールの自動化(RPA)やデータ管理業務に関わり、課題解決型の業務を経験
- 3〜5年目:情シス(社内SE)としてインフラ整備やセキュリティ対策の推進役に
- 将来的には:ITコンサルや業務改革推進リーダーとして社内IT戦略の中心へ
技術職としての専門性を磨くのも良し、マネジメント志向へ進むのも良し。
SESは、土台を築くフェーズとして柔軟性のある選択肢です。
SES=何でも成長できるわけではない。鍵は「会社選び」
案件の選定に自由度があるか?
自分に合った現場に配属されるかどうかは、キャリア形成に直結します。
「希望を聞いてくれるか」「案件を選べる仕組みがあるか」は、企業選びの重要ポイントです。
教育・サポート体制は整っているか?
資格取得支援や技術勉強会、キャリア面談などの仕組みがあるかどうかも、継続的な成長に影響します。
目先の配属ではなく、将来像を見据えた支援があるか?
単に「現場に出す」だけではなく、「どんなエンジニアになりたいか」に寄り添ってくれる企業かどうかが、SESを“使いこなせる場所”にできるかどうかの鍵になります。
行動しなければ、何も変わらない
不安や迷いを感じるのは、「今のままではいけない」と思っているからこそ。
それは裏を返せば、「成長したい」「変わりたい」という前向きな気持ちでもあります。
SESは、戦略的に使えば自分のキャリアを形作る“実践の場”になります。
大切なのは、「どこで」「何を経験するか」を自分の意志で選びとっていく姿勢です。
「次の一歩がわからない」と悩むあなたへ
SESはゴールではなく、キャリアの通過点です。
けれど、どう通るかによって未来の選択肢は大きく変わります。
今の違和感や迷いは、キャリアを見つめ直すきっかけになります。
「なんとなく不安」を放置せず、まずは“環境を選ぶ”という行動から始めてみませんか?
この記事を書いた人

久保田 泰一郎
KUOTA TAIICHIRO
株式会社Necmos 代表取締役
2019年レバレジーズ株式会社に新卒入社。新規事業立ち上げメンバーとして、M&Aアドバイザリー事業に携わった後、株式会社Necmosを創業。経営業務を行う傍ら、主にプライム企業を対象に、コンサルティング/PMO業務に従事。“自分らしさが誰かのためになる世界”の実現に向けて、日々邁進中。
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