もう希望と違う案件で悩まない。「案件選択制」を採用する「新SES」の魅力とは

旧SESにおける“案件ガチャ”とは？

SES＝客先常駐モデル。参画は会社主導が一般的

SESは、エンジニアが自社ではなく、顧客企業の現場で業務を行う「客先常駐型」の働き方です。

このモデルでは、プロジェクトへのアサインはSES企業の営業担当や上司の判断で決まることが多く、エンジニア自身の希望が反映されにくいのが実情です。

スキルや経験よりも「タイミング」や「営業の都合」によって決定されることもあり、「希望の配属先に行けなかった」と感じるケースが珍しくありません。

これが、いわゆる「案件ガチャ」と呼ばれる状況の背景です。

入社時の説明と異なる配属にガッカリする声も

「聞いていた内容と違った」

「未経験からフロントエンド領域に挑戦できると聞いていたのに、実際はインフラだった」

そんな声は旧SESでは珍しくありません。

面接時や入社前に期待していた業務内容と、実際の参画先との間にギャップがあると、当然ながらエンジニアのモチベーションは下がります。

特に、成長意欲が高く「スキルを身に着けたい」と入社したエンジニアにとって、期待外れの案件は大きな失望につながりやすく、最悪の場合は早期離職に繋がってしまいます。

このミスマッチが、「案件ガチャ」という不満の根本にあります。

キャリアの希望が叶わず、モチベーションが低下

エンジニアにとって、案件内容はそのままスキルアップやキャリアパスに直結する重要な要素です。

にもかかわらず、自分の希望や目標とは無関係な現場に配属されると、「このままでいいのか」と将来への不安や焦りが募ります。

成長したい技術領域に関われなかったり、キャリアの方向性が定まらなかったりすると、モチベーションの低下は避けられません。

こうした環境では、ただ「こなす」だけの仕事になりやすく、意欲的なエンジニアほど苦しむ結果となってしまいます。

「希望と違う案件」は退職・転職理由の上位にも

エンジニアがSES企業を離れる理由として、「希望と違う案件への配属」が少なくないです。

特に若手や新卒など、キャリア形成の基盤を築きたいと考える層にとっては、希望の案件に携われないこと自体が、転職を考える大きな要因となります。

「このままでは市場価値が上がらない」「スキルが身につかない」と感じ、将来への不安から離職を決断するケースも少なくありません。

「案件ガチャ」は、エンジニア個人の不満にとどまらず、企業にとっても人材流出を招くリスクとなっています。

「案件選択制」とは？——自由なキャリア設計の第一歩

「案件選択制」は、エンジニア自身が参加する案件を選べる制度

案件選択制とは、エンジニア自身が希望や適性をもとに、参画する案件を自ら選べる仕組みです。

旧SESでは、営業や上司が案件を決めるのが一般的で、エンジニアの意思が反映されにくいという課題がありました。

その結果、モチベーション低下や早期離職につながることもありました。

案件選択制では、エンジニアが自らのキャリアを主体的に考え、自分に合ったプロジェクトを選ぶことで、納得感を持って働くことができます。

キャリアの方向性や興味のある分野に沿った案件を選ぶことができるため、自らの成長を実感しやすい環境が整います。

「新SES」が導入し始めており、旧SESとの差別化ポイントにも

この制度を導入しているのは、まだ一部の先進的なSES企業に限られていますが、彼らは「新SES」とも呼ばれ、旧SESとの差別化を図っています。

案件選択制を取り入れることで、「希望に沿った働き方ができる企業」として、求職者からの注目度も高まっています。

特に若手エンジニア層やキャリア志向の高い人材にとっては、自分の意思で案件を選べるという点が大きな魅力です。

こうした制度は、単なる企業の制度ではなく、企業のブランディングや採用力向上にもつながっており、時代のニーズを捉えた経営戦略ともいえるでしょう。

希望やスキル、キャリア目標に合ったプロジェクトを選ぶことで納得感が得られる

案件選択制の最大のメリットは、自分の希望やスキルセット、将来のキャリアプランに合わせて案件を選べる点にあります。

たとえば、インフラエンジニアとして基本を学んだ後、クラウドやセキュリティといった専門性の高い領域へステップアップしたいと考える人も多いはずです。

そうした成長意欲を実現できる環境があれば、日々の業務に対する納得感ややりがいも大きくなります。

また、自分の意思で選んだ案件だからこそ、困難な場面でも主体的に取り組もうという意識が芽生え、結果としてスキルの定着やキャリアアップにもつながります。

案件選択制の導入背景：人材定着率向上／エンジニア主導の時代

案件選択制が注目される背景には、企業側の人材定着率向上という狙いもあります。

エンジニアにとって「やりたいことができる職場」は、長く働きたいと思える重要な要素。

反対に、希望と異なる配属が続けば、離職率が高まるのは当然です。

また、IT業界全体が「エンジニア主導」の時代へとシフトしつつあることも影響しています。

SNSや転職プラットフォームの発達により、エンジニアはより自由に働き方を選べるようになりました。

そうした中で企業が選ばれる存在であり続けるには、エンジニアの意思を尊重する制度設計が不可欠となっているのです。

「やりたいことができる」が現実に——案件選択制のメリットとは

【キャリア面】成長したい技術領域に挑戦しやすい

案件選択制の最大の利点の一つが、自分が成長したい分野や技術領域に狙いを定めて挑戦できることです。

例えば、これまでインフラ保守を担当していたエンジニアが、次はAWSやAzureを用いたクラウド案件にステップアップしたいと考える場合、その意志を反映しやすくなります。

自身のキャリアビジョンに沿った案件を選べることで、スキルの習得スピードが格段に上がり、市場価値の向上にも直結します。

「やりたいことができる」という環境は、エンジニアの成長を加速させ、長期的なキャリア設計にも大きなプラスとなるのです。

【心理面】自分で決めることでモチベーションが維持される

人は、自分で選んだものには責任と納得感を持ちやすいものです。

案件選択制によって、エンジニアが自ら意思決定を行えるようになると、日々の業務へのモチベーションが大きく変わります。

誰かに決められた現場ではなく、自分の意思で選んだ案件であることが「自分の選択に誇りを持つ」きっかけになり、主体的な姿勢を引き出します。

また、思い描くキャリア像に向けて着実に歩んでいるという実感が、仕事の充実感ややりがいにも直結し、結果として、プロジェクトへの積極性や学習意欲の向上にもつながる好循環が生まれます。

【制度面】事前に案件の情報開示があり、ミスマッチを防げる

案件選択制では、案件ごとの詳細な情報が事前に開示されるケースが一般的です。

プロジェクトの業務内容はもちろん、使用する技術スタックやチーム体制、勤務地や働き方（リモートの可否）といった実務に直結する情報を確認できるため、自分の希望や条件と照らし合わせながら冷静に判断することができます。

このプロセスにより、入社後の「こんなはずじゃなかった」というミスマッチを大幅に減らせるのが制度面での大きなメリットです。

情報がオープンであることは、エンジニアの納得度を高めると同時に、企業への信頼感にもつながります。

案件選択制にも「落とし穴」はある？——知っておくべきデメリットと注意点

選択肢が常に豊富とは限らない

案件選択制といっても、常に多彩な選択肢が揃っているわけではありません。

特にフルリモート案件やモダンな技術に関わる案件は、当然ながら競争率が高く、希望しても必ずアサインされるとは限らないのが現実です。

また、時期や景気によって案件数が減少することもあり、選べる範囲が狭まる場合もあります。

案件選択制は自由度が高い反面、「希望すれば何でも叶う」わけではないという点を理解しておくことが重要です。

選べる＝受け身ではない

案件選択制では、ただ待っているだけでは理想の案件には出会えません。

案件の提案が少ないときには、自分から積極的に情報を集めたり、希望を営業担当やエージェントにしっかり伝える必要があります。

「選べる自由」がある分、行動力も求められる仕組みです。

案件を探すプロセスにおいては、自分の市場価値を意識した上で、適切なアピールやタイミングを見極めることが重要となります。

主体的なコミュニケーションが、満足できる参画へのカギを握ります。

自己責任感のプレッシャー

自ら案件を選ぶというスタイルは、成功すれば大きな達成感が得られますが、うまくいかなかった場合には「自分で選んだのだから仕方ない」と自己責任を強く感じるリスクも伴います。

プロジェクトのミスマッチや、思った以上に厳しい現場に直面した際に、周囲のサポートを得にくく、精神的なプレッシャーを抱えることもあります。

案件選択制には自由がある反面、選択の重みを自分で引き受ける覚悟も必要だということを意識しておくべきでしょう。

スキルと市場価値が問われる

案件を自由に選べるとはいえ、すべての案件がすべてのエンジニアに開かれているわけではありません。

案件の内容によっては、一定のスキルや経験年数が求められることがほとんどです。

希望する案件にアサインされるためには、自分自身が「選ばれる側」であるという認識が不可欠です。

つまり、案件選択制のもとでは、自らの市場価値を常に高め続ける努力が必要となります。

スキルアップと実績作りは、自由なキャリア形成のための前提条件といえるでしょう。

社内リソースの限界

たとえ案件選択制を導入している企業であっても、常にあらゆる希望に応えられる案件を取り揃えているわけではありません。

企業規模や営業力によって保有できる案件数には限界があり、特定の分野やエリアでは希望案件が少ない場合もあります。

そのため、選択肢の幅は企業ごとに大きく異なります。

案件選択制を活かしたいのであれば、企業の案件力や営業の強さも事前に確認しておくことが、満足度の高いキャリア選択につながります。

Necmosの「案件選択制」——「選べる」だけじゃない、キャリアに寄り添う仕組み

案件選択制には、「自分で動かないといけない」「自己責任のプレッシャーが大きい」といった課題もありますが、Necmosの案件選択制は、単に「選べる」だけではない、エンジニアのキャリアに寄り添う体制を整えています。

エンジニア一人ひとりに専属のキャリアアドバイザーがつき、現在のスキルや将来の目標に沿った案件選びをサポートします。

希望だけに頼るのではなく、プロの視点から成長につながる選択肢を提案してもらえるため、「選んだ結果うまくいかないかも…」という不安も解消できます。

選択に伴う責任や迷いに対しても、伴走型の支援があることで安心感を持ってキャリアを築けます。

自分に合った案件を選ぶために必要なポイント

【スキル面】今の自分にできること・伸ばしたいことを明確にする

案件を選ぶ前に大切なのは、自分のスキルを客観的に把握することです。

今の自分にできること、そしてこれから伸ばしたい領域を明確にしておくことで、案件の選定基準がブレにくくなります。

「クラウド技術を強化したい」「設計フェーズに関わってみたい」など、具体的な目標を持つことで、どんな案件が成長につながるのかが見えてきます。

スキルと志向の棚卸しは、単なる「やりたいこと探し」ではなく、キャリア設計の第一歩です。

【判断軸】何を重視して案件を選ぶのか（報酬／スキルアップ／働き方など）

案件選択制のメリットを最大限活かすには、自分が「何を最も重視しているのか」をはっきりさせておくことが必要です。

たとえば、短期的には収入を重視するのか、将来的なスキルアップを優先するのか、それともリモートワークなど柔軟な働き方を求めているのか。

判断軸が明確であれば、数ある案件の中から自分に合ったものを選びやすくなります。

逆に軸が定まっていないと、迷いや後悔が生まれやすくなるため、選択前に自己整理することが重要です。

【コミュニケーション】希望を適切に伝える力が大事

案件を選ぶ際、エージェントや営業担当とのコミュニケーションは欠かせません。

いくら制度が整っていても、自分の希望や目標を的確に伝えられなければ、ミスマッチの原因になります。特に「何をやりたいのか」「どこまでのスキルがあるのか」「どのような働き方を望んでいるのか」を、言語化して共有できることが重要です。

案件の選択は一人で完結するものではなく、周囲との連携によって精度が高まるものだと思います。

信頼関係と伝える力が成功のカギです。

【企業選びの視点】案件情報開示の有無、サポート体制の手厚さ

案件選択制が機能するかどうかは、企業側の姿勢や仕組みにも大きく左右されます。

例えば、「案件ごとの情報がどれだけオープンに開示されているか」、「エンジニアの意思決定をどれだけ尊重しているか」といった点は重要な見極めポイントです。

また、案件を選ぶ際にキャリア面談や技術的アドバイスなど、どれだけ手厚いサポートがあるかも要チェックです。

「選べる制度」が形だけでなく、実際に機能している企業かどうかを見極めることで、自分に合った環境を見つけやすくなります。

【自己理解】自分を理解し、納得できる選択をすることが案件選択制を最大限活かす鍵

最終的に大切なのは、「自分はどんなキャリアを築きたいのか」という自己理解です。

制度や環境が整っていても、自分自身の方向性が不明確では、選択に一貫性を持たせることができません。

自分の価値観や理想とする働き方、スキルの志向性を深く理解していれば、どんな選択をしても納得感を持って前に進めます。

案件選択制は「自由」のある制度ですが、それを活かすには「自分軸」が不可欠です。

主体的なキャリア形成の基礎となる考え方です。

まとめ

旧SESでは、希望と異なる配属に悩む「案件ガチャ」が長年の課題とされてきました。

これに対し、新SESではエンジニア自身が案件を選べる「案件選択制」が注目されています。

自らキャリアをコントロールできる時代だからこそ、制度や企業の実態を見極め、自分に合った道を選ぶことが重要です。

もしも今の働き方に違和感や不満を感じているなら、自ら選べる環境への一歩を踏み出すタイミングかもしれません。