高還元だけで選んでない?新SESのメリットと盲点を徹底解説

最終更新:2025.06.19
公開:2025.06.13
「高還元のSESに転職して、年収が100万円以上アップした」
そんな投稿を、SNSやエンジニア向けのコミュニティで目にする機会が増えました。そこには「高還元」「還元率80%」「年収100万円以上UP」といった、これまでのSES(通称:旧SES)のイメージを覆すような魅力的なキーワードが並ぶ「新SES」の登場が大きな理由です。
「高還元」という言葉が注目される背景には、ITエンジニア市場の変化や、働き方への価値観の変化があります。しかし、その言葉だけで企業を選んでしまうのは、キャリアの落とし穴につながる可能性もあるのです。
本記事では、新SESの強みの一つである「高還元」にまつわるリアルな実態や仕組みを明らかにしながら、自分に合ったSES企業をどう見極めるべきか、その視点を整理します。
この記事でわかること
- 「還元率」というキーワードが注目されるようになった背景を知る
- 「新SES」の大きな長所である「高還元」の仕組みと注意点を理解する
- 自分に合った本当に選ぶべき「新SES」を見極める視点を持つ
この記事を書いた人

能宗 新
NOUSOU ARATA
株式会社Necmos フロントエンドエンジニア
大学卒業後、新卒でSES企業に入社するも、自身の将来性に危機感を抱いたことをきっかけに、株式会社Necmosに入社。デジタルクリエイティブ事業部の初期メンバーとして、開発未経験の状態から様々な受託案件に携わった後、再びSESとして金融系や官公庁系などの現場業務に従事。SESと受託開発の両方を経験することで"視野の広がり"を感じ、今後さらに対応領域を広げるべく、デジタルクリエイティブ事業に再復帰し、Necmos社内のDX化やコンテンツマーケティングなどを推進している。
SNSや口コミで「還元率が高いSESに転職して年収UP」という情報が広がっている
最近、SNSや口コミサイトで「高還元のSESに転職したら月収が10万円上がった」「還元率85%の会社に入ってフリーランス並みに稼げるようになった」といった声を見かけるようになりました。
旧SESに対して、「SES=低収入」「キャリアが積みにくい」といったネガティブな印象を抱いていた方にとっては、この変化は驚きでしょう。
特に、20代中盤の若手エンジニアや、未経験からIT業界を目指す方にとって、「高還元」というキーワードは非常に魅力的に映ります。
「SES=ブラック」はもう古い? | 「新SES」という選択肢
旧SES =「低収入」「使い捨て」「キャリアが積めない」
「どんな現場に配属されるか選べない」
「還元率が開示されておらず、会社にピンハネされている感覚がある」
「単純作業ばかりでスキルが身につかない」
以上のように、旧SESにネガティブなイメージを持ったエンジニアは少なくありません。
そのうえ、数か月ごとに現場が変わり、キャリアの一貫性を持ちづらい。これでは「使い捨て」と思われても仕方がありません。
その結果、「旧SES=ブラック」という構図ができあがってしまっていました。
「高還元」「案件選択制」「スキル支援あり」の「新SES」が登場
しかし今、そうした旧SESの常識をくつがえす「新SES」が台頭しています。
この新しい形態では、「エンジニアを安く使い回す」ではなく、「エンジニアと共に成長し、長期的な関係を築く」ことが前提に置かれています。
具体的には、以下のような特徴が見られます:
- 高還元:契約単価のうち、エンジニアに対して80%前後の高い報酬を還元する制度。給与体系が透明で、単価の内訳まで公開される企業も存在します。
- 案件選択制:営業が一方的に配属先を決めるのではなく、エンジニア自身が案件を選ぶことが可能。スキルアップにつながる現場を主体的に選べます。
- スキル支援あり:資格取得支援や技術研修、キャリア相談など、スキルとキャリアの両面をサポートする体制が整っています。
これらの仕組みによって、「旧SES=ブラック」とされていた時代とは一線を画す、前向きなキャリア形成が可能になりつつあります。
「高還元」のメリットとは?
収入アップが早い段階で実感できる
新SESでは、エンジニアが現場で発生させた契約単価の大部分が報酬として反映されるため、転職直後から収入アップを実感しやすいのが大きな特長です。
旧SESでは、月収の上昇には年功や評価制度に左右されることが多く、成果がすぐに給与に反映されることは少ないです。
しかし、新SESでは、自分の客観的な「市場価値」が給与に直結しており、実力がそのまま収入になる環境です。これにより、早期から収入面で自身の成長を感じやすくなっています。
評価や単価が可視化されるため、納得感がある
還元率を明示している企業では、契約単価・社内コスト・自分への支払い額といった内訳が開示されていることが多く、報酬に対する透明性が高いのも魅力です。
「何にどれだけ引かれているのか」が明確にわかることで、自分の働きがどう評価されているのかを実感しやすくなります。
また、単価の変動が可視化されていることで、次の案件へのモチベーションにもつながります。曖昧な人事評価や属人的な昇給とは異なり、公平性と納得感のある仕組みです。
フリーランスに近い感覚で「個」を活かせる働き方ができる
案件選択制やリモート勤務が可能な企業では、会社員でありながらも、フリーランスに近い裁量のある働き方が実現できます。
加えて、社会保険の加入や税務処理の代行といった、会社員ならではの安定も享受できるため、「個人として自立しながら、安心して働ける」バランスの取れた選択肢として、多くのエンジニアから支持されています。
「フリーランスはちょっと不安だけど、自由度の高い働き方には憧れる」
「フリーランスの働き方が自分に合っているか知りたい」
という方にとっては、有力な選択肢と言えるでしょう。
「高還元」のデメリットとは? | メリットの裏側にある落とし穴
企業ごとに「還元率」の定義がバラバラ
「還元率◯%」という言葉は魅力的ですが、実はその定義は企業によってまちまちで、表面的な数字だけで判断するのは危険です。
一部では、契約単価からの比率ではなく売上比である場合も
本来、還元率は「エンジニアの契約単価に対して、どれだけの金額が本人に還元されるか」を示すべき指標ですが、中には会社全体の売上から計算している例もあります。
そのため、実際の案件単価との関係が不明瞭なケースもあり、「実感としての還元率」と乖離が生じることもあります。
税引き前・経費控除前の数字を使って「高還元」と見せかけているケースも存在
「高還元」と言いながら、それが税引き前・経費控除前の数字である場合、最終的な手取り額は思ったより少ないと感じることもあります。
結果として、実質手取りは想像より少ないことも...
実際の生活レベルに直結するのは「可処分所得」ですので、数字だけに惑わされず、仕組みの中身まで確認することが重要です。
フォロー体制が薄い企業も
高還元を実現するためには、会社の人件費や管理コストを削る必要があります。その影響が最も現れやすいのが、サポート体制です。
高還元を実現するために、営業・サポート人員を最小限にしている企業もある
営業やキャリアアドバイザーなどのサポート人員を削減することで、人件費をカットし、その分をエンジニアに還元している企業もあります。
数字上の還元率は高くても、トラブル時の対応や案件切れへの備えなど、実務面でのケアが薄くなる傾向があります。
メンタルケアやキャリア相談がほぼなく、孤立感を抱えやすい働き方になりやすい
現場に出た後は完全放置という企業も存在し、相談相手がいないことで孤独を感じるエンジニアも少なくありません。
キャリアの方向性に迷ったときや人間関係の悩みを抱えたとき、誰にも相談できず精神的に消耗してしまうケースもあるため、支援体制の有無は事前に確認しておきたいポイントです。
短期視点になりやすい
「高還元=すぐ稼げる」という構造がある一方で、それがキャリア形成に悪影響を及ぼす可能性もあります。
目先の収入に引っ張られて、「キャリア構築よりも目先の単価」を優先する判断をしがち
収入アップが早く実感できることで、目の前の高単価案件を優先する傾向が強くなり、将来につながるスキルアップや技術習得を後回しにしてしまう人も少なくありません。
結果的に、「年齢だけ重ねて市場価値が伸びず、30代以降に選べる案件が減る」という事態に陥るリスクもあります。
Necmosが考える「高還元」—— 成長が報酬に直結する仕組み
Necmosでは、個々の成長や志を正当に評価するため、独自の給与制度「上昇還元率制」を採用しています。
多くの新SES企業では、「還元率80%」など、あらかじめ定められた固定の還元率を掲げるケースが一般的です。
しかし、「上昇還元率制」は、「単価上昇に比例して還元率も上がる」形式で、一律の還元率ではなく、自身の成長が直接収入に反映される仕組みです。スキルを磨き、より高単価な案件を獲得できるようになるほど還元率が上がるため、自分の市場価値を高める努力が納得感のある報酬アップとして返ってきます。
単価連動で昇給する構造により、自分の市場価値を高めつつ、エンジニアとしての納得感あるキャリアを築ける環境を整えています。
本当に選ぶべき「新SES」とは?──将来の理想を実現する視点
還元率は重要だが、それだけで決めるのは危険
「高還元」という言葉は確かに魅力的で、実際に年収アップを実現する手段にもなり得ます。
しかし、その数字の裏側にどんな定義や仕組みがあるのかを見極めないまま企業を選んでしまうと、思わぬ落とし穴にハマるリスクも...
還元率は判断軸のひとつではありますが、還元率「だけ」で転職先を決めるのは避けるべきです。
キャリア形成、技術スキル、メンタルサポートも重要な判断軸
収入アップと並行して重要なのが、「その会社でどんなキャリアが築けるのか」「どんなスキルが身につくのか」という視点です。
また、現場常駐というスタイルでは孤立しやすくなる傾向があるため、メンタル面やキャリア面でのサポート体制が整っているかどうかも確認しておきたいポイントです。
稼げるかどうかだけでなく、「安心して、長く働けるかどうか」も大切な判断基準です。
「どの新SESを選ぶのか」ではなく、「自分のキャリアを伸ばせる土壌として新SESをどう活用するか」
今の時代、SESだからといってキャリアの選択肢が狭まるわけではありません。
むしろ「新SES」は、うまく使えば自由度と成長を両立できる柔軟な働き方です。
大切なのは、「どの会社を選ぶか」ではなく、「自分がどんなエンジニアになりたいのか」を明確にし、それを実現できる環境として「企業をどう活用するか」、という視点です。企業に「使われる」のではなく、キャリアのために「使いこなす」──その意識が、将来の自己実現につながります。
まとめ
「高還元」の「新SES」は、収入や働き方の自由を得られる魅力的な選択肢ですが、還元率の仕組みやサポート体制も含めて見極めることが重要です。
どの企業を選ぶかよりも、自分の成長にどう活かすかという視点を持つことで、将来のキャリアを確かなものにできます。
Necmosでは、業界最高水準の還元率を実現しつつ、エンジニア個人に対し、担当キャリアアドバイザーが伴走してキャリア支援を行なっています。「Necmosの還元率」や「キャリア支援」について気になった方は、気軽にNecmosのカジュアル面談にご応募ください!
Necmos編集部
Necmos編集部は、現場で活躍するエンジニアの声やリアルな経験に基づいた信頼性の高い情報を発信し、読者が自身のキャリア形成に役立てられるようサポートしています。 また、エンジニア一人ひとりの価値観や想いを大切にしながら、業界最高水準の給与還元を透明性の高いマージン設計で実現することで、エンジニアが安心してキャリアに集中できる環境を整えています。